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厄介なお薦めと古典の悲劇

スターウォーズを今の中学生に観せても、そんなに感動しないのはなぜだろう」

雑誌ブルータスの編集者からそんな質問をされた、メディアクリエイターの佐藤雅彦さんは答えました。


「刺激というものは、個人ではなく社会で積み重なっていくものなので、今あの映画を観ても、あの映画が生まれた当時とは違う。
それは数学の発見と同じようなもので、二次方程式が生まれたときと今では状況が違う。それより先の数式を求めなくてはいけない。
そういう意味で、スターウォーズ級の刺激はすでにデフォルトのものとしてあるんだ」



たしかに「スターウォーズ」第1作目の空中戦や「ET」の自転車飛行シーンは今見ると悲しいほど陳腐で、ETそのものも出来のいいゆるキャラのよう。「マトリックス」だっていまさら見返そうとは思いません。

映画におけるテクノロジーというやつはホント残酷でイタイっす。



特撮やCGといった映像的刺激とは関係のない映画は果たしてどうか。
若かりし頃、感動や刺激を受けた映画を見返すのはけっこう勇気が必要です。
あの頃感じた思いがそのまま蘇ってくるとは限らなく、ヘタすると幻滅さえ感じたり、当時の自分に疑問を投げかけることにもなりかねないからです。



時々仕事仲間の若い人から、おすすめの映画、小説はなんですか、と聞かれることがあります。ちょっとした社交辞令というか挨拶程度の問いかけに過ぎないのですが、答え方にちと悩みます。


自分の趣味嗜好で答えるか、相手が興味持ちそうなモノを答えるか、いつの時代の作品をストックから引っ張りだすかも瞬時に考えたりもします。
小津やワイルダーチャップリンを薦めたって、今の時代の映画テンポとまったく違うわけですから、タル~いなんて言われてハイそれまでよ、もありうるからです。



「お薦め」ってホント難しい。「アレ観るべきだ」と薦められる側にたっても、特に尊敬も憧れもない人からのお薦めは真剣に受け入れようとは思わない。

「なに」を薦められた、よりも「誰に」薦められたかが判断基準なんだよねやはり。


いわゆる古典的名作ってのも、ある意味メンドー。
いま古典なんて薦められたって、そんなの観返したり読み返したりの時間がもったいないでしょ。

だって、新しいお楽しみが次から次へと押し寄せてくるわけですから。



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