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橋がぐらんぐらん揺れ出す前にすることがある

ずっと気になっていた雑誌があります。中国で発行されている、日本を紹介する「知日」という雑誌で、2011年の創刊から最新まで40号ほど続いています。

 

知日 なぜ中国人は、日本が好きなのか!

知日 なぜ中国人は、日本が好きなのか!

 

 

中国では600円ほどなのに、Amazonでは一冊2000円から3000円ぐらいします。しかも、というか当然中国語だから読めないやと諦めていたけど、日本語によるダイジェスト版がありました。
 
 
今までどんな日本が、特集として組まれていたのか。
 
ダイジェスト版(2011〜2014)に収められているのは、
奈良美智「制服」「猫」「鉄道」「明治維新」「妖怪」「森ガール」「断捨離」「暴走」「漫画が超好き!」推理小説「料理の魂」「日本人に礼儀を学ぶ」「雑貨」「手帳最高」などで、以降も「山口組」「喫茶店」「アイドル」是枝裕和などが特集された号もあり、多彩でかなり興味深いです。

 

知日?制服uniforms

知日?制服uniforms

 

 

知日・奈良美智

知日・奈良美智

 

 

知日  30?怪談

知日 30?怪談

 

 

 
 
中国には5年ほど前に一度行ったことがあります。北京や上海という都会ではなく、広州郊外の街だったけれど、それでも人口は名古屋と同じぐらいで、さすが13億人が住む国はハンパないです。
 
 
 
あれから5年、なんだか最近とても中国が気になります。
 
 
「知日」のまえがきで、神戸国際大学教授の毛丹青氏が書いています。
 
『知日を縦に並べると、智という漢字になります。中国の若者たちが、日本人の暮らしぶりを通じてその思想を知ることは、政治や経済だけでは絶対に得られない、大きな智慧をもたらすはずだ』
 
『日本をもっと知りたいという中国の若者がいる一方で、「中国文化なんて興味ない」という日本の若者もいる。この差は、5年10年を経た時、やがて大きな「知の格差」をもたらす可能性があります』
 
 
 
編集長の蘇静氏は、
 
『中国では、日本の事物を見て、なにかといえば「源は中国だ」と言い、そこから先、思考停止している人は少なくない。でも、よく考察すれば、中国から日本に到着した事物は、そこで変化を遂げて、独自の優れたものに進歩している』
 
『相手のことをよく「知」れば、人には自然とリスペクトする態度が生まれ、過激な行動には走らなくなる。そういう意味で「知る」プラットフォームを作り、育てていくことは、意義あることと思っています』

 

 
だから、反日でも親日でもなく、「知日」なんでしょうね。
 
 
 
 
日本のテレビや雑誌では、<日本って素晴らしい自画自賛系>が増えていて、外国人が「ニッポンクール!」とか言っていて、素直に嬉しくなっちゃうけれど、あまりに過剰に褒められすぎると、それはそれでホントかよ無理やり言わせてんなぁが見え隠れしてきて、あとで手痛いしっぺ返しがあるかもと逆に不安になってきたりもします。(とはいうもののそういう番組、結構好きで見ている)
 
 
オリンピックまではこうした傾向が続くだろうけれど、内に向かってばかりで外を知る機会がないと、懸命に外を知ろうとしている他の国々に簡単に追い抜かれちゃったりもするんだろうな。
てか、もう追い抜かれているのかも。
 
 
追いつけ追い越せは、順繰りなのかもしれません。
若い頃は、「POPEYE」や「Hot Dog Press」の影響で、アメリカ文化や音楽や映画にどっぷりで、日本のことを振り返ることもしていませんでした。むしろ、ダサいとあえて毛嫌いしていたところもあったような気もします。
 
 
 
でも年齢を重ねると不思議なもので、昔から継承されている伝統系や立ち居振る舞いや儀式的なことがとてもステキに思えるようになってきています。
これは単に年齢によるものなのか、それとも日本全体が内に向かっているためなのか、よく分かりません。
 
 
隣の、どっちかというと日本に対してよく思っていないという情報しか届かない国の、特に若者が「日本を知る〜知日」に向かっているのは、とても嬉しく感じるけれど、それに対して「どうだいいだろ」「教えてやるぞ」「よく学べよ」なんていつまでもアジアの先頭を走っている気であぐらをかいていると、この先、日本こそ「源は日本だ」と思考停止しちゃって先を見なくなってしまうのではと、冷静さも必要だなと思ったりします。
 
 
日本語で言う「愛国心」は、英語では「ナショナリズム」と「パトリオティズム」の2つがあるようです。
その違いがよく分からなく、辞書などで調べてみました。
 
ナショナリズム」は、政治体制や国家、民族など国が対象で、
パトリオティズム」は、その対象は共同体や郷土に焦点が当たっているようです。
 
なんだかわかったようなわからないような。
 
 
 
足並みを揃えて行進する軍隊は、橋を渡る時、リーダーの号令のもと一旦制止し、みんなバラバラに歩き出すそうです。
大勢が同じリズムで橋を渡ると、共振して橋がぐらんぐらん揺れだし、危険だからです。
 
 
最近話題の幼稚園の、モザイクかかった園児の歌や宣誓を見ていて、そんなことを思い出しました。あのまま歩き出すと、ただでさえ不安定な「橋」は、ぐらんぐらん揺れだしてしまうぞと。
 
 
 
「知日」は中国で10万部発行されています。
一方、反日デモには7万人集まるそうです。「知る」方が多いですね。
 
 
中国に詳しいジャーナリストの中島恵さんの文章にこんなのがあります。
 

『日本に来ることはタイムマシンで未来に来ること。未来で見聞きし体験したことを現在の自国に持ち帰って自国の発展に役立てる』

『かつて日本がアメリカのドラマや映画やや音楽や文学に憧れ、いつか追いつけ追い越せと努力したように、いつか中国は簡単に日本を追い抜いていくことでしょう。』

 

 

中国人の誤解 日本人の誤解 (日経プレミアシリーズ)
 

 

 

中国人エリートは日本人をこう見る (日経プレミアシリーズ)

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愚か者、中国をゆく (光文社新書)

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謝々(シエシエ)!チャイニーズ (文春文庫)

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