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人工知能との正しい付き合い方「忖度力を身に着けよう」

例えばCM制作の現場で。
 
「いや、別にそうしろって言ってるわけじゃなくひとつの情報としてね」という前置きのあと、「社長はビートルズが好きなんだよね」と、広報担当者や代理店の営業さんが口にすることがあります。
 
そうなると、BGMの選曲にビートルズ風が加わることになります。ぜんぜんマッチしていないにも関わらず。
 
 
他にも、「社長は◯◯集めが趣味でさ」「最近孫が生まれてね」という情報がもたらされると、誰かが言い出します。「一案、◯◯や赤ん坊が登場する企画を考えてね」と。
 
 
で、ふと気づきました。
これって、今流行りの「忖度(そんたく)」ってやつ?
 
 
「忖度」なんてコトバを知らなかった時は、
まったくもー、ホントに社長それ望んでんの?と、ブツブツ言ったりもしていたのですが、「忖度」というコトバを知ると、ま、仕方ないわな、と妙に納得してしまうから不思議なものです。
 
 
 
ネットニュース編集者でライターの中川淳一郎氏が書いています。
<仕事とは、
好きでも何でもないオッサンの出世と名誉と富のために自分の時間を差し出し、働くことが求められる。
仕事とは、より偉い人(上司・クライアントなど)から怒られない配慮によって回っている。 
一番下っ端は自分よりも偉い人がその上の人に怒られないように配慮することを積み重ねていくこと>

 

 

凡人のための仕事プレイ事始め

凡人のための仕事プレイ事始め

 

 

 

 
どうする?前例ないしな。でも◯◯と親しい人なんだろ。直接言われてないけど規則通りだと顔潰すかな。あとで怒られると嫌だし。法的には問題なさそうだからハンコ押すか。
 
 
今回「忖度」があったかどうかは知りません。
 
でも、「仕事」はきちんとしていたようです。
 
 
 
どういう基準を複合的に満たせば審査をクリアするか、という明確なラインがあるものに対しては、人工知能は完璧に冷静に判断することでしょう。
でも、その案件の背景に、誰、地位、コネクション、名前など「忖度」的なものが隠れている場合、人工知能には判断なんかできやしない。
 
「忖度」的データをプログラミングする場合にも、なにを入れ込むかという段階で「忖度」的なものが働いて、もうそうなったら「忖度スパイラル」です。
 
この「仕事」は人間にしかできません。それも日本人だけかもしれません。
 
 
 
 
証人喚問が終わった後の、外国人特派員協会の記者会見で、通訳は「忖度」をどう訳すかを苦労していました。
 
 
He hinted at “powers at work behind the scenes” (舞台裏の力を匂わせた)
 

 

なんて伝えています。
 
 
日本の労働人口のおよそ49%が人工知能やロボットに代替可能になるとか言われていますが、だったら今身につけておけなくてはいけない力は、「忖度力」なのかもしれません。
 
「忖度力」は、自らが動かなくとも思うがままに周りを動かすことができる、そう、テレパシーやサイコキネシスみたいな超能力のようなものですから、人工知能にもロボットにも真似出来ない、無敵な力です。
 
 
 
「社長、やっぱ、BGMはビートルズ風で決まりですね!」
なーんてロボットが言ったら気持ち悪い。
 

 

 

人工知能の核心 (NHK出版新書)

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